折り紙クリエイターshokoの 折り紙の日々

折り紙が1枚あれば、5分後には何かが出来上がっています

君と歩くバージンロード

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父が癌になり、余命が半年と言われてからどのくらい時間がたっただろう。
車椅子の生活で長く歩くのが出来なくなってしまった父は、前より少し小さくなった。

毎日面会に行く私に父が言う。
「14時から17時までは面会に来るな。」

何でそんなことを言うんだろうと思いながらも、もうすぐ結婚する私はその準備でバタバタしている。
母とも話しているけれど、父は私の結婚式に参列するのは難しいだろう。

高校の時からずっと付き合ってきた彼は父も知っていて、結婚を報告した時は
「よろしくお願いします」
と彼に頭を下げた父。

くるなと言われていたけど、少し時間が出来たわたしは16時すぎ病院に着いた。

父の病室をノックすると、
「ちょっと待ってください」と中から看護師さんの声がする。
ショートカットの看護師さんが出てきて、
「あ、やっぱりノック3回だから娘さんだと思いました」
そんなことを言われた。
父からは、この時間にくるなって言っただろうと少し怒られる。
何でダメかの理由をいまだに教えてくれない。
看護師さんに聞いても、検査や清潔ケアの時間だからだと思いますよと返ってくる。

結婚式当日。
父の代わりに一緒にバージンロードを歩くことになっていた兄。
式場にいたのは、正装をした父だった。

『28年間育てた娘の隣を違う男が歩くなんて嫌だったんだよ。』

父の好きな花はダリア。
ダリアの花言葉は、華麗、優雅、気品というのもあれば移り気、不安定というのもある。
人には沢山の顔があるから、魅力的にみえるんだと父は小さい頃の私に話してくれた。

後日ショートカットの看護師さんが教えてくれた。
どうしても娘さんの結婚式に参列したい、バージンロードを歩きたい。
それが俺の最期の夢だと。
だからあの時間は歩く練習をずっとしていました。
辛い、キツイなんて言わず、愚痴ひとつこぼさずに。
ただ娘さんとバージンロードを歩くことを願って練習していました。
内緒にしていてごめんなさい。
でも。男の人はそうやって、大好きな人の前では強くありたいと思うのかもしれないですね。

ねえ、お父さん。
私が車椅子を押すからさ。
2人で一緒にデートしよう。

 

拙い文を読んでくださって有難うございました。
これは架空のお話です。